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六覺燈物語 その一「出会い」

 

株式会社hachibei crew代表の八島且典です。

ワインと串揚げのお店「六覺燈(ろっかくてい)」様との出会い。

僕の飲食人生においてターニングポイントとなった出来事です。

人生には「出会う力」と「恥をかく力」が大切だと思います。

その事を気づかせてくれた大きな出会いでした。

  1. その一「出会い」
  2. その二「仕える身」
  3. その三「ポチ袋」
  4. その四「大阪通い」
  5. その五「えんどう豆の串揚げ」
  6. 最終話「次第仕送り」

 


 

2000年の4月頃の事です。
まだ当時、「焼とりの八兵衛」は前原店だけでした。

二号店を天神に出すことが決定して、どうしても確かめたいことがありました。

「果たして八兵衛の焼とりって全国ではどんくらいのレベルかいな?」
「自分では美味しいと思うとるばってんが他の焼とりはどけんかいな?」
ちょっとイキってた頃です。
内心、八兵衛の俺の焼とりが一番美味しいくさ!と。
すでに40歳近くにもなっていたにもかかわらずです。

当時そう思い、全国の焼き鳥屋を2か月間かけて食べ歩きした時のお話です。

東京40軒
大阪30軒の行脚でした。

そして、その行脚の最後のお店に何故か、私は六覚燈さんを選んでいたのです。
ワインと串揚げのお店です。
以前から雑誌などの掲載で気になっていたお店だったのです。
高級店ですが行列が出来るお店として。

初めてお店に行った時のことは今でも鮮明に覚えています。

その時の出会いと出来事が私の人生を大きく変える事になったのです。

一本食べ
二本食べ
三本食べ…
おおおおおーー!
「こげな旨かもんは食べたことないばい!」

ほぼ生まれて初めて食べる串揚げでした。
しかし、その時思ったのは
「ああ、、、もう、、、この世にこれ以上の串揚げはなかばい…」
と。

寿司を食べたり
焼き肉食べたり
チャンポン食べたり
色んな美味しいものを食べるたびに
もっと美味しいお店あるはずだとか
よそのお店のはどげな味かいな?
などと思うのですが、六覚燈さんの串揚げを食べた時にはそんなことは一切思いませんでした。
この以上のお店はないだろうと思ったのです。
不思議と言えば不思議ですが、そう思ったのです。

あまりにも美味しい美味しいと言って食べてたら
親父さんが出てこられて
「いらっしゃいませ、お気に召されましたか?」と。
「はい!めちゃくちゃ美味しいです!
僕は福岡の焼き鳥屋ですが全国を食べ歩いてきて最後のお店にここを選んだとです!
僕の焼とりは全国でもトップクラスだと思いました!
負けてないです!
ただ、田舎町でやってるので苦労してますが、天神にお店を出したらきっと!
絶対美味しかとです!
炭にも塩にも空調にもこだわってて!…」
機関銃のように喋くりまくりました。
感動のあまり
何故か自分の話
こんな僕をアピールしたかっのか
イキっとりました

「あらあら、お兄ちゃん…
そんな気張らんでもよろし…」
そりゃあビックリされたでしょうね
初めて来た何者かわからん男が一方的に突然身の上話を始めたわけですからね。
しかも何の脈略もない話を

必死でなだめてくれました。
はたから見ると単なる酔っ払いですよね。
後から思うと、よく追い出されなかったなと思います。

それでも私のイキりは止まりませんでした。

もっととんでもない発言をしてしまうのです。

つづく

 

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